20100929

重症度と自宅退院率

今日、後輩tiriさんのクライエント

Tさんが自宅へと退院した・・・

入院時、重症度が高く

運動性失語も重度であり

入院中にPEGの増設も行ったクライエントだった・・・



家族は退院先でかなり悩んだようだが

結果的に彼女は自宅へと退院した・・・



自宅か施設かで悩む家族が

自宅へ連れて帰ると判断したのは

ある場面がキッカケになったらしい・・・



作業療法室の縁側(和室へのあがり)に腰掛けて

セラピストや他患とお茶のみをするクライエントの姿を見て

Tさんのお嫁さんが・・・

「ばあちゃんは前と何も変わらないばあちゃんなんだ!絶対家に連れて帰ってあげなきゃ!」

そう思ったことがキッカケになったのだとkiriさんにある日打ち明けてくれたのだという・・・



重症度の高いクライエントに対して

一生懸命起居動作や排泄動作に介入して

少し介助量が軽減しても・・・

家族から見れば、重度の障害を負ってしまった

一人で何もできない要介護~の人になってしまうのかもしれない・・・



しかし介助量の軽減を図るための介入を行いつつも

本人の生活文脈に関連する作業で介入を行い

その人らしさを取り戻すための介入を継続していくことで

家族にとってクライエントが、”患者”ではなく”あの日と同じおばあちゃん”

になれるのではないか・・・?




価値ある作業を共有して介入することは

本人の健康につながるだけでなく

自宅退院率も向上させるのかもしれない・・・




9月11日の研修会の休憩時間に

友利さんとそんな雑談をしたことを思い出した・・・

20100927

構想

作業療法の初回介入時

私が大切にしていることは

クライエントが自分の作業遂行文脈に目を向けられること・・・



自分は今まで色々な作業を遂行してきたから

毎日自分らしく生活してこれたんだ! と思ってもらうこと・・・



そのプロセスが上手くいけば

その後の作業選択や価値の共有はスムーズにいく・・・



でもそれは非常に難しいプロセスでもある・・・



障害を負って

将来への肯定的ビジョンを構築できないクライエントが望むことは

ほぼ間違いなく機能回復・・・



その境地にいるクライエントの想いを決して否定することなく

自分の価値ある作業に目を向けて

その中に希望と目標を見出すことはとてもテクニカルなプロセス・・・



セラピストの経験年数やクライエントの疾患などにも

かなり左右されるプロセスかもしれない・・・







作業療法とは?の問いに答えながら

自分の人生を作業的視点で振り返り

再び作業しながら生きていくということを

共に考えることのできる動画の作成を今構想している・・・





その動画を見ながら作業的自己を再認識して

滞りなく作業選択評価へとランディングする流れを構築したい・・・

コンバート

以前書いていた記事についても
こちらに(殆ど)コンバートしました。

日付は全て今日になっていますが、
今年の3月から今日までの記事の
抜粋です。

よろしくお願いいたします。

20100926

竹密にして・・・

竹密にして妨げず流水の過ぐるを

山高くして豈に白雲の飛ぶを礙げんや




今日は月に一度の座禅の会だった

今日は後輩二人と一緒に参加した

上の禅語は玄侑宗久さんから先ほど聞いた言葉

竹は、芯がしっかりしているが

枝はいつも脱力しており

流れる水を滞らせない

また、風も滞らせず

竹を通過した風は清清しい

人間は頭で考えながら生きているが

意識を滞らせてはいけない

凛として佇み

家を持ち上げる程の強い根を張りながらも

通過する何物をも滞らせない清清しさ





またひとつ憧れを頂いて帰路についた・・・





帰り際に玄侑さんに筍を二本頂いた・・・

明日何を作ろうかな・・・

主観の中の意味・・・

私は今朝 六時半に"離床"したのではない・・・

六時半から仕事に行く準備をしたのだ

私は今日 数時間"立位"をとったのではない・・・

移動し意思疎通し義務を果たし願望を満たそうとしていたのだ

私は今 "巧緻動作"を行っているのではない・・・

自分の想いを表現したい欲求に駆られているのだ

今目の前にいるクライアントのその"現象"に

作業的存在としての主観的意味はあるか?




目的


義務


責任


願望


習慣




あらゆる私を構成している作業的存在としての要素が

私を動かしている・・・

何か一つを失っても

私のシステムに歪みを生じさせ

しなやかさを失うだろう・・・

主観的意味無き作業の虚しさは

怠惰と遮断を助長し

無限の可能性を秘めた

オープンシステムを負の連鎖に追い込むだろう・・・

還元主義パラダイムが全能の理論ならば・・・

この世に作業療法士は必要ない・・・

油断するとすぐに歪み始める

ガラスのシステムを

いつも肯定的に循環できるよう

様々な作業を様々な意味・価値のもとに皆遂行している・・・

歪が大きくなると・・・

負の循環の中

循環を逆周りさせようとするエネルギーは発動せず

身体的安楽や機能回復へと求めるものは変化してしまう・・・

作業で評価し作業で介入し作業で結果を出す・・・

私自身の肯定的循環を支える最も大切な作業・・・