平成26年度診療報酬点数が公開されています.
その中で,回復期リハビリテーション病棟では入院時訪問指導加算(150点)が
新たに追加されました.
これはクライエントが入院する前後七日間の内にクライエントの自宅を訪問し,
環境調査等を行った上でリハビリテーション総合実施計画書を作成することで
得られる加算です.
実はこの加算,僕がずっと前から切望し続けていた加算です.
回復期病棟では,殆どのクライエントに対して,退院前訪問を行います.
しかしながら,退院前訪問指導料を算定できない回復期病棟では,
何度も訪問することによってかかるコストを軽減するために,
クライエントの能力がある程度固定してから(退院が近づいてから)訪問を実施し,
現在の能力で自宅環境に適応できるか?
または適応するためにはどのような調整が必要か?
という視点で訪問が行われることが多いのではないでしょうか?
これは,環境を「物理的環境」に限定して考えれば確かに効率的な方法です.
今回の加算のように,入院直前や直後に訪問を実施すると,
まだどの程度能力の向上が見込めるのかわからない状態で
訪問を行うことは非効率だと考えるセラピストもいるかもしれません.
しかしながら,今回の入院時訪問指導加算は,
クライエントと効果的な協働関係を構築する上で
非常に有益な加算だと僕は考えています.
クライエントは,ある日突然脳卒中などのトラブルに見まわれ,
気付けば病院のベッドの上にいます.
その後,数十日間,全く自分の生活とはかけ離れた文脈の中で,
他者に依存した日々を過ごしてから回復期病棟のドアを叩くのです.
そこで作業療法士がクライエントの作業に焦点を当て,
クライエントと協働的に目標設定を行おうとしても,
クライエントは自分を作業的存在として認識することが難しく,
効果的な協働関係を構築することは容易ではありません.
入院時(直前・直後)にセラピストと共に自宅に帰り,
自分の大切な人や物に囲まれた環境に触れることは,
クライエントが自身を作業的存在として捉え,
主体的に作業療法に参加するために必要な情報を沢山くれるはずです.
今回の加算は,クライエントと協働的に作業療法を行う上で,
必ずや追い風となってくれる加算であると僕は思います.
ぜひ作業療法士は,積極的に入院時訪問指導に参加してください.
物理的環境やマンパワーの調査に終始するのではなく,
クライエントの大切な場所に行ってください.
大切な物を見せてもらってください.
クライエントに聞いてください.
クライエントの言葉で語ってもらってください.
自分の大切な作業について語る様子を家族に見せてください.
クライエントが何故にクライエントらしく生活してこれたのか?
それを住み慣れた場所でみんなで一緒に考えてください.
僕はずっと,この加算が実現したら,
クライエントの家で初回面接を行おうとずっと考えていました.
少し遅かったけどね…
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