20110308

パウル・ヴィトゲンシュタインを想う・・・




今日は夕方OT室の和室にみんなで集合しました。後輩のNさんが担当する、神経内科病棟に入院しているクライエントOさんが、音楽に合わせてタンバリンパフォーマンスを披露してくれるというのです。Nさんが、僕達回復期のメンバーにも声をかけてくれたため、数名のクライエントと一緒に参加しました。


Oさんは、Nさんの演奏するピアノに合わせて、タンバリンを持って踊ります。ヨガや、太極拳などをモチーフに作られたオリジナルの動きは、見ている僕達を心から楽しませてくれました。参加したクライエント達も、久しぶりに舞台でも見に来たかのような、Oさんとの時間を本当に楽しんでいました。


Oさんのパフォーマンスが始まる前、僕とHさんは、和室で、床からの立ち上がりの練習をしていました。リウマチの母の為にまた手伝いがしたいとADOC面接で語った彼です・・・


彼は休憩時間に、和室の隅に置いてあった電子ピアノに興味を示し、弾いてみたいと僕に申し出ました。僕は勿論快諾すると、ピアノの電源を入れて、セッティングを済ませました・・・


彼は左手で・・・決して上手くは弾けなかったけれど、なんとショパンを弾いたのです。聞けば彼は幼い頃からかなり長い期間ピアノを習っていたそうです。


家には古いオルガンが置いてあって、統合失調症の症状で思考がまとまらずに苦しい時には、よくオルガンに向かっていたのだそうです。


その時思い出したのですが、ADOC面接の時に、最後の5項目には残らなかったけれど、彼は楽器演奏を選択していたのです。僕との協議の結果、その作業は、初回の介入内容には入りませんでしたが、楽器演奏にはそんなエピソードがあったのです。


近々リリースされる製品版のADOCには、最終選択した5項目以外の選択した作業も保存される機能が追加されています。この機能はかなり有効に活用できそうな予感がしました。


演奏が終わった後で、僕は彼としばらく話しをしました。今後も自宅で思考がまとまらずに苦しいときには、またオルガンを弾きたいこと・・・自分にとって、将棋や囲碁と同じくらい大切な作業であること・・・彼は改めて語りました。


相談の結果、左手用の楽譜を用意して、一緒にピアノの練習をしていくことに決めました。


世の中には、片手のピアニストが沢山います。左手用に書かれた楽譜も多数存在しています。また紡がれた旋律に耳を傾けて、ひと時の心の平安を取り戻す作業・・・オルガンが彼にとってそんな作業になればと思います・・・幸いにも僕の母はピアノ教師です。近々実家に帰って相談しよう・・・












作業には物語がある




作業には意味がある




作業には価値がある




作業には目的がある




作業には手段がある




作業には輝きがある




作業には安心がある




作業には誇りがある










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