20110629

今夜の献立を考える前に・・・






僕は殆ど毎晩夕飯を作ります。

メニューは子供を保育園に迎えに行った後に
車の中で考えます。
メニューを考えながら近所のスーパーに向かうのです。

大体車の中でメニューは思いつくのですが、
忙しかった日などは、時々思いつかないことがあります。

そんな時にいつも助けてもらうのは、
スーパーの実演コーナーです。

毎日違うメニューを「今夜の献立」と題して、
スーパーのスタッフが実演・試食を行っています。

これには何度も助けられています。
でも面白いことに、単にメニューを参考にするだけではない
ことが多いのです。

実演しているメニューをそのまま真似るのではなく、
完成品を見ることで、全く別のメニューを思いつくことが多いのです。

今夜はカレーを作りました。
でもスーパーで実演していたメニューはサラダパスタでした。

でも僕は、サラダパスタを作っている場面を見て、
カレーを作ろうと思ったのです。

仕事が比較的早く終わった日は、僕は無意識に
夕方から今夜の献立を考えているんだと思います。

でも忙しかった日は、車の中で初めて献立を考えはじめるんだと思います。

おそらく献立が思いつかない日の僕は、
作業療法士の文脈を引きずったままスーパーに向かっているのです。

それが実演を見ることで、”家事をするパパ”の文脈に移行できるんだと思います。
だから実演を見るとすぐに色々なアイデアが浮かんでくるんだと思います。

そういえば、似たようなことが昔ありました。

久しぶりに実家に帰った時に、
両親に御飯を作ってあげようとしたときのことです。

普段は毎日普通に献立を思いつく僕が、
その日はどんなに考えても、なかなかメニューを決めることができず、
結局母に頼んでしまったという経験がありました。

この日の僕は、おそらく”息子”という文脈だったんだと思います。

クライエントも同じです。
少なくても、殆どのクライエントは、”病人” ”患者”
という文脈で入院生活をスタートさせます。
”手足を治す挑戦者”というような認識のクライエントも多いでしょう。
そのような文脈に支配された状態で、突然自分にとって意味のある作業は何か?
OTに聞かれるわけです。


当然その質問の答えを、すぐに想起できるはずもなく
「仕事以外は特に何も・・・・」というような返答になってしまうわけです。


今夜のメニューを思いつかない日の僕と一緒です。

でも、やりたいこと、やらなければならないこと、やってみたいこと、
これらが全くないクライエントなんていないと思います。
意味のある作業に焦点を当てることができる文脈にいないだけだと思うのです。

ADOCは、ICFの活動・参加の項目に準拠したイラストを手がかりにしながら
クライエントと作業療法士が一緒に作業に焦点を当てて、目標設定を行うことが可能す。
イラストを使用しながら面接を進めることで、
作業的視点で自分の生活を顧みることが難しいクライエントの
嗜好や役割、習慣や義務、興味などの想起をアシストしてくれます。

イラストを使用することで、クライエントが想起する作業や関連する語りを
制限してしまうのでは?と思う人もいるかもしれませんが、逆にイラストを
使用することで、イラストに載っていない作業についても、想起や語りを
引き出すことが可能になることが多いのです。

丁度僕が、実演コーナーを見て、全く別の献立を思いつくときのように・・・
















自分が作業の専門家であることを説明すること・・・


作業的視点で自分の人生を振り返ることができる文脈形成を補助すること・・・


意味のある作業を共有すること・・・


自分らしさを取り戻すために


作業ができるように援助すること・・・


作業をすること・・・


作業に従事したり、作業の可能化に向けた自己の変化に対する


肯定的な語り・解釈を援助すること・・・


クライエントに関わる全ての人に、クライエントの意味のある作業を


知ってもらうこと・・・クライエントにとっての意味や価値を知ってもらうこと・・・


僕の臨床のイメージはこんな流れ。


Aid for Decision-making in Occupation Choice

 








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