20110217

誰よりも己を知っている人だから・・・





阿吽(あうん)の呼吸という言葉があります。
これは、共に1つの事をする時などの相互の微妙な調子や気持、
特にそれが一致する状態のことを指します。






先日、私の所属する支部の主催で、「意味ある作業とは」と題した研修会が開催されました。その研究会に、ウチのPTさんが参加してくれました。


参加してくれたPTさんは、Kさん。どんな人かと簡単に説明すると、
「もしも僕が障害を負ってしまったら、絶対にこのPTさんに担当してほしい」人です。


研修会の前に、僕とKさんは立ち話をしました。Kさんは、「どんなにPT的に分析して介入を行っても、効果的な介入ができないクライエントが沢山いる。だからその理由に何があるのか?なにか今後の介入を考える上で、活かせることはないのか?それを確かめに行きたい!」といっていました。


Kさんは非常に鋭い洞察力でクライエントの動作や身体機能を評価・分析・介入します。ボトムアップ的な視点で困ったときは、僕はいつもKさんに相談します。そんな自分の本分に対して真摯に向き合い、アイデンティティを確立し、かつ自分達の存在する意味は何なのか?を客観的に捉えられる人だからこそ、自分のパラダイムのフィルターから見える景色に固執することなく、今回の疑問が浮かび、研修会参加へと足を運んでくれたんだと思います。Kさんは、ファジーな印象を受けやすいOTの介入や効果についても非常に関心を示してくれます。


協業とは、同じことをするのではなく、それぞれのアイデンティティをしっかりと個々が自覚し、研鑽や実践を重ねながらも、他の専門性を尊重し、理解しようとする姿勢が向き合ったときに初めて成立するのではないかと思います。


協業=スキルミクスだ!などと主張する某連絡協議会がありますが、僕は違うと思う・・・


新人の頃を思い出しました・・・”OTは機能が診れない!””動作分析が甘い!”よく言っていたPTがいました。魚屋に野菜のことを知らないと言っているようなものなのに・・・


でも同時に、「僕の専門性は作業だ」とはっきりと言えない僕もいたのです・・・現に機能を診れないことに危惧を感じ、自分達の専門性をより盲目にしたOTも沢山いたのです。


今は”OTは機能が診れない”なんて公に愚かな発言をするPTはいなくなりました。


立ち話の最後にKさんは言いました。


ボトムアップはPTでいい・・・ADLをトップだと思ってトップダウンするのもPTでいい・・・OTが本当の”その人の”トップダウンをして、あとはお互い合わせればいい・・・


アイデンティティの危機に立たされていたOTは、現在、専門性を主張することにかなり関心を持っています。でもそれは他職種を理解しようとする姿勢と同居するからこそ、クライエントの利益へと還元されていくのです・・・


阿吽の呼吸という言葉が示す、「共に1つの事をする時などの相互の微妙な調子や気持。特にそれが一致すること」とは、お互いが全く同じことをするということではありません。同じ目標に向かって、それぞれが自分のすべきことをしっかりと遂行し、それでいて協業者との波長が溶け合うような状態をさしているのです・・・










6 件のコメント:

  1. お疲れ様です。
    心臓は動いています^^

    今日、院長カップの話を少しだけ院長にしてみました。
    フリを。
    もっと、知ってるようで知らないお互いの事を知って、
    もっと効果的な介入ができるようなきっかけにしたいんです、という様な事を話してみました。

    院長ははじめ、たぶんちょっと誤解していて、
    例えばグレードが●の人に対するプロトコールを作る、みたいな内容をイメージしていたっぽいので、
    (ドクターの研修?か何かの流れがそういう感じのがあるみたいなんです。)
    次に話すときにはちょっと遷移図もどきっぽいものを
    もってプレゼンしてみようと思います。
    上の誤解はちょっと修正して、こういう事をやりたいんですって伝えたら、好意的な反応をもらえました。
    Kさんも乗っかってくれて。
    なのでまた相談させてください。<(_ _)>

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  2. kibiさんありがとう。
    そうですか。院長には僕からも今度話してみますね!
    そして、もし実現したら、各職種のプレゼンの後に、
    今後の協業のイメージのようなものをまとめた時間・プレゼンがあったほうがイイと思いました。なので、もしよければそこは僕がやりますよ!事前に各職種のプレゼン内容を把握させてもらえればすぐに作れます!

    そして、そういえば今年度の研修のトリは僕達のチームが担当の「作業療法を深めよう」でしたね!kibiさんの事例を出して行う相談をこの間しましたが、最初の10分くらいと、最後の5分くらい僕が喋ってもいいですか?kibiさんの事例紹介の前に、僕が作業療法の核の部分を簡単に話して、それから事例に・・・そして最後にまとめという流れでどうでしょうか?

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  3. ごぶさたしてます。uezuです。
    最近の侍OTさんの記事は凄みがあります。ますます好きです。

    協業や連携を考える時、規模の大きさや情報量の多さに注目しがちですが、
    何のために必要なのかと今一度立ち止まって、振り返った方がいいんですね。
    システム構築よりも、システムの存在意義から考え直そうと思いました。
    感謝。

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  4. 今日は嚥下で科長さんも一緒だったので、
    またふってみました。
    お互いをもっと知りあう機会をもちたいんですと。
    科長さんも乗ってくれました。
    また、構想を練って、いってみます^^

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  5. uezuさん ありがとうございます。

    この間相談させていただいたことも含めて、
    色々なことが、確実に前進している感じがあります。

    でも、う~ん・・・なにか足りない感じがいつも僕の感覚を支配しています。この流れをちゃんとシステム化すればイイのか?でもシステム化すると、必ず本来の目的や意義を忘れて、システムに沿って遂行することばかり考えるような場面に遭遇するのは目に見えているし・・・そのへんのバランスをどう業務改善に反映させていくべきか?悩んでいます。


    理想のモデルと、実際の臨床で実用に耐える形でのシステムと方法の確立、そして定期的な振り返り・・・そんなイメージを持っていますが・・・もがいていきます。

    いつも有難うございます。多分また相談しちゃいます。

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  6. kibiさん ありがとうございます。

    色々なことがゆっくりと変化していくから、改めて立ち止まって振り返らないと変化を感じることはできないけれど、数年前を思い出してみると、職員中心の病棟業務形態から、クライエント中心に変化してきましたよね。

    僕達全職種の力を合わせれば、もっともっとクライエントにとって有益なことができる! いつもそう思っています。

    いつも本当に前衛的に動いてくれてありがとう。みんなで前を向くじゃなくて、みんなでクライエントの方を向こう!クライエントが前を向けるように!

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