入院時にみせた社交的な表情は陰りをみせていた。
能力的に明らかな低下は見られないが離床を拒むことが多くなった。
ADLへの介入はチームで継続して行われていたが
彼女の価値ある作業は失われつつあった。
ゆっくりと話す時間を作った。
環境を遮断しつつある彼女に、面と向かった対話はストレスが多いだろうと
簡単な花くす球作りを行いながら話をすることにした。
退院してデイサービスの仲間に会いたい
またみんなで歌ったり作品作りをしたい
過去の作業を一緒にゆっくりと振り返った。
最近は食事や水分もあまり取らなくなっていた。
僅かな嚥下障害の影響も考えられるが、食べる意味を失っていた。
ADLは早期に自立したが、
作業同一性の解離と個人的原因帰属感の低下により
負の循環から抜け出せない若い男性に対して
効力感の向上を主眼に介入を行う後輩に相談。
食欲が出ない彼女の為に、
好物である甘味を彼が作りご馳走する場面を設定した。
自分を心配し、片手でプリンを作ってくれた彼に感謝し、
彼女は驚くべき速さでプリンをたいらげ、コーヒーを飲み干した。
かなり不明瞭な彼女の感謝の言葉に、彼の笑顔は青空を突き抜けた。
その場面には担当看護師にも同席してもらい、ナラティブのバトンを渡した。
また作業療法の魅力に打ちのめされた一日だった。
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