20100926

価値の共有の先にある選択

朝起きてから何をするのかを
順番に思い出して教えてもらってもいいですか?




分かりました・・・




まず・・・布団から出たら・・・作業着を着て・・・畑に向かいます。




えっ! そんなにすぐに出かけるのですか?
よく思い出してください。顔を洗ったり、仏様を拝んだりとか・・・
出かける前に行っていた作業はありませんでしたか?




・・・でかけてましたね・・・




そうですか・・・起きたら着替えてすぐに畑にですか・・・・




私はまだ暗いうちに畑に出かけるんですけど、
楽しみがあるんです。






それは顔を洗わずに外に出て、朝霧を顔に浴びることなんです。
顔を洗うとその気持ちよさが味わえないんです・・・・






・・・・そうだったんですか!
なるほど。私も祖母の家が農家なので、早朝に手伝いをしたことは
何回もありますが、たしかにあの感覚は気持ちいいですね!







・・・またあの感じを味わいたいですね。







そうですね!また早起きして畑にいけるように・・・いや
朝霧を浴びれるように必要なことを一緒に考えましょうか。





 ~今から3年前、Iさん(GBS)との初回面接より~





作業の価値はクライアント本人しか分からない・・・

いや、本人もわざわざ意識にのぼらせないことのほうが多いかもしれない。

ましてや障害を負い、未来の希望を機能回復という四文字の先にしか
みいだせない状態のクライアントであれば尚更である。

クライアントしか知らない・クライアントも気付いていないかもしれない
作業の価値を共有する作業。

作業の選択・抽出に目的を置くと、価値が置き去りになることが多い。
価値の確認と共有に目的を置くと、選択は自然と見えてくることが多い。

価値ある作業をセラピストと共に遂行するクライアントは
機能回復を諦めたクライアントでは決して無い・・・・

機能回復への固執をセラピストに否定されたクライアントは
尚更自己の価値ある作業を見つめる道程から遠ざかるだろう・・・

一生諦めることができないであろう機能回復への願いに寄り添いながら・・・
それでも人間には作業をすることで健康になれる力をもっていることを信じ
個々のクライアントの物語の中にその作業を見出し、共有し、遂行する・・・
障害を含めたクライアントの人生の解釈を肯定的なものへと変換する・・・・

僕のいつも持ち歩いているイメージ・・・

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