20110220

突然目の前に現れる”作業”の専門家・・・





車を購入するときは、ディーラーに出かけます。

食料品を買うときは、スーパーに出かけます。

歌いたいときは、カラオケに行きます。


私達は、自分が求めているものを知っていて、

それを解決してくれる場所へと出かけます・・・



でも、障害を負ったクライエントが初めてOTと対面するときに、

作業療法とはどんなセラピーで、

作業療法士とは何をする人なのか?

知っているクライエントは皆無です。

少なくとも日本の現状はそうです・・・



それなのにOTは作業療法のことを上手く説明できないことが多いようです。

説明できないセラピスト・・・

説明できるだろうけど、なんだか自信を持って説明することができずに

その場逃れの説明を行うセラピスト・・・

その背景も様々です・・・



僕自身、昔を思い出すと、

「OTでは、実際の生活に必要な身のまわりのことや、応用動作の練習を行います」

なんて説明をしていたこともありました。



そんな介入を行っていた頃は、どうしてもクライエント側に

PT>OTという反証し難いヒエラルキーが存在していたような気がします。


それは自分がそうなるような説明・介入しか行っていなかったからです・・・



今は自分が作業の専門家であること・・・

生まれてから今まで、その全ては作業の連続だったこと・・・

自分の大切な作業を行ってきたからこそ、イキイキと生きてこれたんだということ・・・

だから、一緒に大切だった作業や、これからやりたい作業を思い出したり探したりして

新しい生活を作っていきたいということ・・・

その為に僕は存在しているんだということ・・・



意思疎通が可能なクライエントには初回評価時に説明します。

機会があれば家族にも同様の説明をします。



具体的には、ADOCなどを使用しながら、クライエントの作業遂行文脈を
共有するプロセスの中で、自然にクライエントが自己の作業に目を向けられるように
なってきた時に、OTとは何をする人なのかを説明することが多いです。


家族には、ADOCでクライエントと共に介入する作業を選択した後に、
評価結果をPDFで説明しながらOTの説明を行います。



僕の経験から言えば、最初は上手く理解してくれないことが多いかもしれません・・・

でも、作業によってイキイキとしてくるクライエントが増えてくると、

そんなクライエントがいる環境が、僕達の説明の有効性を

後押ししてくれます・・・


また、クライエント自身が、自己の意味ある作業を大切に思えるような
面接ができれば、その流れでOTの説明は非常に円滑に可能となります。


ウチの職場では、昔、スタッフ同士が、作業療法面接を行い、
それを他のスタッフが見て意見を交換し合い、作業療法面接が、少しでも円滑に、
かつ、クライエントが作業に目を向けられるようにするためのエクササイズも行いました。


是非、諦めずに、しっかりと自分が作業の専門家であることを

説明する勇気をもってほしいです・・・


クライエントは、何屋さんかも分からない店に、

突然飛び込むようなものなのです。



「手のリハビリをするところです」と説明すれば

そこはクライエントにとって手を治す場所になるのです・・・



「応用動作を練習する所です」と説明すれば、

応用動作を練習する場所になるのです・・・



「大切な作業を取り戻す場所です」と説明すれば、

作業をする場所になるのです・・・

作業に必要な練習をする場所になるのです・・・

作業からトップダウンすることができるのです・・・



















2 件のコメント:

  1. 侍OTさん,こんにちは。
    『作業療法士とは』
    その言葉を去年の夏,とても探していました。
    OTが作業療法についてクライエントに伝える言葉は,
    OTとして経験するたびに,増えていくような気がしていて,まだ探す旅を終えれません。
    きっとそれは人と作業の可能性の広さを,クライエントとの出会いごとに知るからだと感じ,もうこのゴールはないのだと思っています。
    侍OTさんのブログに遊びに来ると,またその奥深さを知り,旅が楽しくなります。
    ちびっこOT☆

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  2. ちびっこOT☆さん お久しぶりです。 先日は受賞本当におめでとうございました。 自分のことでもないのに興奮して、自分が講師を務めた 勉強会などで何度も話してしまいました☆ ちびっこOTさんの取り組まれている活動を通して、自分の中に形成されたシステムや習慣に溺れずに、行動を起こす勇気をもらいました。 また、自分にとってクライエントとは、目の前のこの人だけなのか?この人に介入する上でのクライエントとは一体誰と誰なのか?という視点の幅を教えていただきました。 そういえば、ちびっこOTさんの介入されていたコミュニティの代表者の方が、「作業療法士は、作業という聴診器で子供の心を診てくれる人」という表現をされていましたよね!ぼくはあのコメントを読んだときに泣きました。 いつも温かくてさわやかで、それでいて力強いちびっこOTさん。いつも元気をありがとうございます。

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