H氏作:福禄寿
今日は先日入院してきたYさんにADOC評価を行いました。統合失調症の既往を持ち、今回脳出血で重度の左片麻痺を呈したYさんは、イラストを見せながら面接を進めていくと、まず最初に、”物を持って運ぶ”作業を選択しました。
正直僕は意外でした。今まで僕が”セラピストの選択する作業”としてこの作業を選択したことはありましたが、クライエントが物を持って運ぶという作業を、一番最初に選択したことは一度もなかったからです・・・
僕はその作業を選択したことが非常に気になって、彼と話しを続けました。すると普段無口な彼が、重い口を開き、話し始めました・・・
「かあちゃんがリウマチだから、今まで俺が力仕事を全部やってきたから・・・」
詳しく話を聞くと、毎日の買い物から掃除洗濯、庭の手入れなど、殆どの家事を母の為に行ってきたのだそうです。面接を進める中で、彼が選択した作業は、その殆どが、母の為に行ってきた作業でした・・・
僕は入院してまだ日が浅く、ADLの殆どに介助を要する彼に対して、歩行レベルでのADL獲得に向けた作業を選択しました。
彼は今発症から1ヶ月。年齢や、画像診断から判断して、明らかにADL自立や屋外歩行自立が目指せる状況です。僕は彼との話し合いの末に、いくつかのADLに取り組んでいくことを決定しました。
僕は回復期リハビリテーション病棟に従事する作業療法士です。クライエントに可塑性やADL能力改善の可能性があるのならば、可能性と必要性を提示します。勿論今回もそうです。
しかし、僕は、その道程が、クライエント固有の意味ある作業に繋がることを必ずクライエント本人と共有したいです。クライエントの想いを共有して、その想い(意味ある作業)の実現の為に一緒にトップダウンした結果のADL訓練なんだという位置付けを必ず大切にしたいです。
片麻痺というショックの中、自分の未来よりも、まず最初に母を想った彼の優しさを、主体的な作業遂行という形に支援するのが僕の使命です・・・
客観的な評価だけでは絶対に共有できなかった尊い作業・・・
優しい人ですね。
返信削除応援していますm(__)m
みんな色々なんですよね。
色々色々色々。
考えるのは難しいですけど、
でも、考えてくれる人がいなかったら、
寂しいですもんね。
がんばります。
kibiさんありがとう!
返信削除一見静かで無口な彼ですが、
家族を想う気持ちはとても温かくて、
何とか彼の思いを形にしたいですね。
また力を貸してください。
kibiさんのクライエントのHさんとの
囲碁対決も楽しみです。
場を設定するのでよろしくお願いします。
週末はいよいよ昇進試験ですね!
応援しています。
気にしないで月曜日休みとってね!