先日全国学会にも一緒に参加したYさんが頑張っています。
重度の左麻痺のクライエントTさん。
体幹機能が著しく低下し、車椅子座位で簡単な作業を行う際にも
大きく姿勢を崩してしまう事例です。
身辺ADL訓練に加えて、Tさんの食事を主な課題に挙げていました。
当初、Tさんの集中困難をチームで問題に挙げ、
食事の際は、皆が集まる食堂での食事を取りやめ、
扉を閉めた個室での自力摂取に向けた介入を始めました。
僕は度々その個室を訪ねていましたが、
なかなか介入が上手くいっていないようでした。
一時間かかって何とか摂取する・・・
そんな日もあったようです。
そこで、MOHOの10の側面から
Tさんの状態をリーズニングすることをYさんに提案しました。
僕が自作したリーズニングシートを渡し、
Yさんにシートを埋めてもらいました。
Tさんの語りに耳を傾けたり、観察を続けていくうちに
色々な要素が見えてきました・・・
漬物作りや料理にかなりの価値を見出していたこと・・・
入院している今の環境が苦痛でたまらないこと・・・
毎日の食事の時間が憂鬱なこと・・・
病棟では、殆どの時間を無為な時間が占め、
作業剥奪状態に陥っていること・・・
そのことが、Tさんの「もう何もできない」という感情を
助長していること・・・
そして
遠くの食堂から聞こえてくる、他患の声が気になっていること・・・
様々なTさんを取り巻いている要素が視覚化されてきました。
そこでYさんは気付いたようです。
集中困難=個室で対応
このアセスメントはスタッフが勝手に決め付けた
“効果的環境“であったことに・・・
Yさんはすぐにチームと交渉し、Tさんの食事場所を
皆と一緒の食堂に変更しました。
集中困難だから避けたほうがイイ・・・
当初そう誰もが思った食堂で、
Tさんはほんの数日後、
食事を普通にたいらげたのです・・・
そして、Yさんに向かって
「みんなで食べると旨いない」
と、福島なまりたっぷりの笑顔で語ったのです・・・
僕たちはクライエントの利益を考えていつも評価・介入を行います。
「このような状態のクライエントには、このような介入が望ましい」
という暗なプロトコールを沢山もっているのではないでしょうか?
しかしそれは、個人を取り巻く要素や語りに
耳を傾けるという姿勢とともに活用しなければ、
“思い込み”にもなりかねません・・・
自分の頭の中の”フレーム”を一度壊して、
クライエントの語りに耳を傾けて
フレームを再構築する・・・
簡単なようでなかなか難しいスキルです。
Yさんはその後、kibiさんの助けも借りながら、
Tさん自慢の漬物作りを行ったり、病棟の野菜の世話を行ったりと、
Tさんの自分らしい生活を支援するために奮闘しています。
リフレーミングできる人・・・
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