20131116

長野と鰻とOBP(いただいた感想と質問に関して)


11月3日.長野県の諏訪中央病院さんで
「作業に焦点を当てた実践研修会」と題しまして
3時間お話させていただきました.


今回は前日・翌日と別の仕事が入っていたため,
福島⇔長野を日帰りという弾丸スケジュールでした(笑)


早朝に福島を出発し,お昼に長野県の茅野駅に到着すると
今回の研修会を企画してくださった中塚さんが
美味しい鰻屋さんに連れて行ってくれました.







僕は日頃から「最後の晩餐はうな重とエビスとマンゴー」と公言しているほどの鰻好きです.長時間の移動の疲れも忘れ,かなりテンション上がりました(笑)


美味しい鰻をいただいた後,会場へ移動.
開始まで少し時間があったので,会場の周辺を散歩すると,
紅葉がとても綺麗でした.







今回の研修会は,有志での開催にもかかわらず,
また,連休の中日にもかかわらず,約50名の方が参加してくださいました.
沢山のお土産もいただきました.
主催してくださった中塚さん.運営してくださった皆様.参加してくださった皆様,
本当にありがとうございました.







【研修会に参加して:感想】


・実際の臨床で面接を行うことがありますが、なかなか患者さんにとって必要な作業を見つけることが出来ずに困っています。今回、実際の面接のビデオを見ていくつかの絵を提示するだけで患者さんの方から、行ってみたいことや大切にしている作業について話してくれていて驚きました。どうしても患者さんの身体機能面に目がいってしまうことが多く、ここを治さなければと、一部分に捉われてしまっているなと感じました。また、今自分の行っている治療では患者さんと大まかな目標しか共有できておらず、「○○ができるようになるために○○を行っている」など、きちんと説明できていないと感じました。まず、OTはどの様な職種なのかを説明し、目標を共有した上でアプローチしていきたいです。

・今まで、面接を行っていても、一緒に目標を共有できていなかったなと反省しました。自分の面接の仕方についても見直して、クライエント中心の作業療法をしていきたいと感じました。また自分も含めて、人は作業から成り立っていると改めて感じました。臨床の中で機能面と作業を比べていることもあり、そうじゃないんだと思いました。作業の中に機能があって、クライエントにも自分の状態を意識してもらえるような介入をしていきたいです。今回の研修を聞いて、自分の治療を見直す良い機会となりました。

・訪問リハビリ、通所リハビリにて作業療法を行っていますが、利用者からの希望に歩行訓練、筋力訓練、マッサージの希望がとても多く、限られた時間の中でなかなか作業を提供していくことができずにいます。しかし今日の話の中で、初回面接の大切さを知ることができました。本当に困っていることなど、もっと聞き出せていないことが多々さるのでは?と感じることが出来ました。ありがとうございました。

・面接という言葉だけがひとり歩きしている感じがしましたが、先生が話してくれた実際の部分を含めると分かりやすく、考えが落とし込みやすかったです。そのツールとしてADOCがあるという感じでしょうか。「機能と作業を天秤にかけるな」…すごくいいことだと思うし、OTとして大事だと思います。「焦点をあてる」、共有する、その上で目標を設定するのが大事…学生時代に当たり前だったことを忘れている、出来ていないことに気づかされました。実際の場面と、アウトカムがあったので分かりやすかったです。面接の場面も分かりやすかったです。セラピストとしての視点、想いの置き方が大事か。初心に戻るではないですが、色々と気付かされた研修会でした。ありがとうございました。

・自分では作業面接がうまくできなかったので、面接の動画を見て知識を得ることができました。今後に生かしていけるように練習したいと思います。

・いままで面接ではクライエントから今困っていることやできるようになりたいことを聞いても「特に無い」と言われることが多かった。今回の研修会で学んだように、具体的な作業について詳しく話をしながら、本人に自分のことを理解し、目標を持って生活を送れるような促しが必要だと感じました。

・初回面接はやっていたが、以降面接を行うことが少なかった。フィードバックは必要だと感じたため、以後取り組んでいきたいと思う。

・今まで担当させて頂いた患者様へのアプローチ方法として、最初に身体的な評価を行いながら、同時に会話をして面接という形になっていた自分がいます。今回の講義を通して、段階をしっかりと追いながら、クライエントの為に、「一緒に」リハビリを行う事が大切だと思いました。改めてOTとしての存在意義について考えるきっかけになったと思います。

・急性期病院で勤務していますが、なかなか面接をおろそかにしてしまったり、機能を中心に見てしまっていたため、作業や生活に焦点を当て、そのために機能回復を行っていく必要性が分かりました。

・例え話を用いて説明して頂いたため、分かりやすかったです。「好きな作業をして機能も手に入れる」という言葉は印象的でした。PTではなくOTを選んだ理由をあらためて考えさせられました。

・とても勉強になり有意義な時間を過ごすことができました。作業科学や面接のポイントなど、とても分かりやすく、面接もとてもスムーズに本人の作業や性格など、個性も捉えていけるのがすごいと思いました。作業的存在は意識しながら介入していましたが、クライエントへの説明や本人との共有をもっとしないといけないと思いました。

・貴重な研修会に参加できて良かったです。クライエント中心のOT…いつも悩みながらの治療を進めていますが、軸をしっかりと持って、クライエントにとって「大切な作業」を紡いでいけるように関わっていきたいと思います。

・臨床にて『OTとして…』という部分で悩んでいる事が多くありましたが、今回のOBP研修会に参加して、作業療法の素晴らしさを改めて発見できたと思います。良い機会を頂き、ありがとうございました。

・クライエントの方の主体性を大事に、もっと向き合っていこうと思いました。面接の機会をきちんと設けていきたいと思います。ADOC,COPMなどのツールの利用も行っていきたいと思います。

・新しい視点のOT像でおもしろかった。例えが分かりやすかった。

・日々自分とクライエントとの関わりを顧みるとても良い機会になりました。

・作業に焦点を当てて、クライエントと思いを共有して、一緒にプログラムや目標を決めていくことが大切だと、改めて感じました。

・講演の中で、自分で行えるであろう内容が沢山ありました。聞けたことで私のOT人生は変わったなと思います。

・クライエント中心を意識してきたつもりが、本当はできていなかったのではないか、と自分を振り返るきっかけになったと思います。今後いままで以上にクライエントと話をしようと思いました。

・クライエントの主体性を大切にしていくために、必要なポイントが分かりやすく説明していただいて、勉強になりました。

OTとしての専門性も自分の中で曖昧な部分があったので、先生のお話を聞いてその人が困っていること、やりたいこと、作業という視点で関わっていくこと等、専門性がどういうところにあるのかも改めて勉強させて頂きました。

・臨床に沿った形で先生の症例をたくさん取り上げて講義して下さり、分かりやすく最後までわくわくしながら聞けました。じっくりと先生の話を聞ける機会はなかったので、とても有意義でした。OBPの研修会があれば、また参加したいです。

・いかに主体性をクライエントに戻していくのかといった視点や考え方がとても勉強になりました。また機会があればこのような研修会に参加したいと思います。

・日々、心がけているOBPですが、実際のケースへの介入例を通して、さらに介入の幅が広がることが予想でき、明日からの臨床が楽しみです。

・「作業的存在」や「機能と作業」の内容はとても勉強になりました。聞いたことのある内容も、改めて聞くと、また違った視点で感じることが出来ました。長野県でこういった研修会があると、参加しやすく有難いと思いました。

・作業療法士としての役割については、悩んでいる人が多いと思いますが、講義を聞いて心強くなりました。今回のような講義はOTには必要だと思います。OBPの研修は定期的に行い、もっと深く聞きたいと感じました。

・事例や先生の体験を交えたお話で、わかりやすく面白かったです。今まで何気なくしていた自分の言葉や行動が、患者さん自身の主体性を妨げていたことに気付けたり、具体的な介入方法を聞くことができ、本当に勉強になりました。実際に明日から行うことが出来ることもたくさんあると思うので、今後に繋げていきたいと思います。


・自分はよく機能面ばかりに目が向いてしまい、作業療法って何だろうと考えさせられます。今日の話を聞かせて頂いて、考えがすっきりしました。明日からの臨床場面では、今までより自分もイキイキ出来そうな気がしました。面接場面をもっと大切にしていきたいです。


【質問・疑問について】

1:「趣味がない」、「困っていることがない」と答える患者との関わり方、作業の選択、趣味などの聞き方の工夫を知りたい。

 ご質問ありがとうございます.このようなクライエントは結構多いかもしれません.まず作業療法の説明をしっかり行ってみてください.また,趣味がないことは悪いことではありませんので,クライエントが「趣味がない」と発言したことを,あまりネガティブに捉えないことも大切かもしれません.「困っていることはない」という発言に関しては,作業療法士の視点から,本当に困っていることがないのかを考えて,もし困っていることがありそうならば,専門職の立場から伝えることも大切だと思います.クライエントの発言は,たとえそればポジティブなものでも,ネガティブなものでも,どちらも同じ「評価結果」として捉え,そこからクライエントがよりよい作業的存在になるためにはどうすれば良いのかを考えることが大切であると思っています.自分の経験を振り返ってみると,「何とかクライエントから趣味などの作業を聞き出したい」といった恣意性を持っていると,面接が上手く行かなかったり,たとえ表面上は上手くいったとしても,真の意思決定の共有や協働関係を築くことが難しい印象があります.自分はなにをする人なのかをしっかりと伝え,またクライエントの思いを無知の姿勢で受け止めること,そして専門職の立場から必要だと思うことはしっかりと伝えること.このような要素が大切だと思っています.



2:病識低下などにより、OTや家族は必要だと思っていることを、クラエイントは行いにくい、もしくは介助は必要だが、本人は必要なことではないと思っている場合、目標へどこまで反映していったほうがいいでしょうか。

 ご質問ありがとうございます.まず,確かにクライエント中心は理想的な形かもしれませんが,それは決してパターナリズムが悪いという意味ではないと思います.パターナリズムは,それが無自覚にクライエントに主体性を奪うような発動の仕方をしたり,発動の根拠となるセラピストの関心に妥当性を欠く場合,クライエントに不利益をもたらす可能性があるのであって,専門職として様々な障害を呈するクライエントを支援する際,パターナリスティックな介入は,時にはとても重要ものだと思います.パターナリズムを発動する理由をしっかりと有していることが重要なのだと思います.



3:認知症や高次機能障害の方と関わる機会が多く、面接が困難な場合があります。また面接しても、その方のやりたいことが何も出てこない場合はどのように介入していけば良いでしょうか?

  ご質問ありがとうございます.クライエントとの二者間の面接では,作業に焦点を当てた目標設定を行えないことはよくあります.家族や親しい人に対する面接から,効果的な介入につながる情報を得ることができるかもしれません.僕は,可能であれば,家族にも面接評価を実施しています.*家族に面接をする場合は,クライエントの想いを代弁することを目的に行うことが多いですが.



4:骨折の方で、「歩ければなんでも出来る」「歩けるようにしてほしい」というニーズの方が多く、今まで生活してきたことに対してアプローチできないことがありました。そういった方に対して、どういった動機付けで、作業に視点を当てたアプローチをしていけば良いでしょうか?

  ご質問ありがとうございます.クライエントがよりよい作業的存在になるために,歩行が必要であれば,しっかりと支援することが大切だと思います.しかし,クライエントの大切な作業について,クライエントと共に,意味や形態について確認していくと,必要な練習が相互理解の元に見えてくるかもしれません.また,骨折の方が入院している期間も,作業的存在としての時間と空間の占領の連続です.実存的作業の視点から,支援内容を考えても良いかもしれません.



 5:作業や活動を介入して行おうとすると、遠慮などから消極的になってしまったりして、導入する際「無理をしてしまっているのでは?」と感じることがあります。導入の工夫を教えて頂きたいです。

  ご質問ありがとうございます.やはり,説明や面接などの目標設定や相互理解のプロセスを大切にするべきだと思います.クライエントが動機づけられ,主体的に自分の取り戻したい作業を表明することができるような関係作りを一番大切にしてください.



 6:「介入」という言葉はとても一方的な言葉に感じています。先生の中で、どのように感じておられるか知りたいです。

 ご質問ありがとうございます.僕も便宜上,「介入」という言葉をよく使います.作業療法士が,クライエントの主体性を何よりも大切にする職業である以上,「介入」よりは,「協働」という言葉がしっくりときます.しかしながら,主体的に何かに取り組むことや,強く動機づけられることが難しいクライエントもいるわけで,やはり介入というニュアンスもしっくりくる場合があります.




研修会に参加してくださった皆様.
本当にありがとうございました.


追伸:大村さん.美味しい焼酎ありがとうございます!今いただいています(笑)















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